マンチェスターはいつも曇天

Manchester Cityについて。

1.CL決勝に思う、フットボールでの「不易」

※今回はマンチェスターシティの要素は0.1%くらいしかありません、ご了承ください🤔

 

寺田寅彦という明治〜戦前を生きた物理学者がいる。彼の名著『俳句と地球物理』の中で、寺田はこう述べている。

「不易流行の原理は、あらゆる芸術に通ずるものであろう」

不易流行とは、勿論ご存知の方もいるだろうが、松尾芭蕉が提唱した俳句の基本理念であり、不易と流行を両立したものが上手な俳句、ということである。

不易は不変を意味し、流行は変化を意味する。

寺田はそれをあらゆる芸術に通ずる、と述べたが、僕はスポーツ、とりわけフットボールにも通ずるものだと思うのだ。

 

目を疑った方も多いだろう。

先日のCL決勝戦レアルマドリー先制のシーン。カリウスは信じられないミスを犯した。プレー内容は割愛するが、呆然と立ち尽くすクロップが印象的だった。

それだけではない。カリウスは3失点目のプレーでも判断をミスしたし、あるいはリヴァプールの大エース、サラーは前半で負傷交代を余儀なくされ、そして決勝点になったベイルのあまりに美しいバイシクルシュート...そのいずれかを計算していた者は両陣営にも、視聴者の僕たちにの誰にもいないはずだ。

では、フットボールでは何が計算できる部分であるのか。

そう、戦術だ。

 

フットボールは近年、ものすごい速度で戦術的に進化していると思う。

僕はFootballistaを毎月購読しているけど、トップレベルで用いられている新しい用語や概念がたくさんアップデートされて提供される。

ピリオダイゼーションやゲーゲンプレス、デュエルといったものはもはや常識で、可変システム、ポジショナルプレー、ハーフスペース、5レーン理論...などなど。

加えて、スカウティングシステム、GPS、ドローン、AI...機械化も時流に乗って進んでいる。

CLやW杯のような最高峰のレベルの大会はもはや最新戦術の博覧会のようだ。

フットボールにおける戦術に不変なものはほとんどなく(もはやGKの役割でさえ進化し続けている、今季であればエデルソンはいい例だろう)、常に変わり続ける、まさに流行そのものだ。

では、フットボールにおける不易の部分とはなんなのだろうか。

言うまでもない。プレーをするのは選手であり、人間である、ということだ。

 

試合の趨勢は計算、つまり戦術の部分をより正しく詰めていった者が有利になるだろう。

それでも、戦術を良くも悪くも凌駕するプレーは90分の中で多く起きる。

まさに先日のリヴァプールvsレアルマドリーはその意味で典型的な一戦だったと思う。

さあ、あと2週間でW杯が始まる。

戦術がフォーカスされがちな昨今だが、プレーをするのは選手である、という不易の概念を忘れずに、四年に一度のお祭りを楽しもう。

そして、不易と流行を両立させた、つまり戦術が先走りせず、安定したプレーをしたチームが最後に栄冠を手にすると僕は予想します。

 

※最後に宣伝ですが、次回からのブログはW杯のグループリーグ予想、ならびに注目選手をテーマにした内容にします。

1グループごと小分けにして書いていきますので、ほぼ毎日更新になると思いますが、ご一読いただければ幸いです。